ATELIER RECRUIT JOURNAL
この仕事をしていて、
よかったな。
利用者様の人生と、仲間の成長。
私の心に残っている5つの話です。
訪問看護の仕事をしていると、心が動く瞬間があります。
それまで関わりを拒んでいた方が、看護師の顔を見て笑ってくださったとき。難しいと思っていたことが、ご本人とスタッフの積み重ねによってできるようになったとき。
そして、悩んでいた仲間が、その人なりの看護を見つけたとき。
アトリエでは、0歳のお子さんからご高齢の方まで、難病や終末期を含む、さまざまな状況にある利用者様と関わってきました。その一つひとつに、その方とご家族の暮らしがあり、物語があります。
私たちは、訪問看護を通して、その方の心も満たせるような関わりをしたいと思っています。必要な看護やリハビリを届けながら、「この人が来てくれてよかった」と感じていただける存在でありたい。
もちろん、思いだけでうまくいくわけではありません。どう関わればよいのか悩むことも、なかなか前に進めないこともあります。今回お話しするエピソードにも、そんな時間がありました。
それでも、ふとした瞬間に「この仕事をしていてよかったな」と思う。今回は、私の心に残っている5つのエピソードをご紹介します。
目次
「訪問看護はいらない」から、笑顔へ
少しずつ築いた信頼が、奥様の涙と言葉につながった。
寝たきりのご主人を、奥様がお一人で介護されているご家庭がありました。ご主人は反応が乏しく、コミュニケーションが難しい状態でした。関係者がさまざまな支援を提案しても、ご家族はサービスの利用を受け入れられずにいました。そんな中、アトリエに相談をいただきました。初めて訪問した日も、「訪問看護はいらない」と拒まれました。それでも、訪問を重ねていくうちに、少しずつ関係が変わっていきました。1週間、2週間。初めは訪問を歓迎されていなかったご家庭で、いつしか看護師が来ると笑顔が見られるようになったのです。やがて、ヘルパーさんの利用を決めてくださり、デイサービスにもつながりました。そして、気丈に振る舞っていた奥様が、日々の介護で疲れ切っていたことを、看護師に涙ながらに話してくださいました。私は、そのことがとても心に残っています。支援を受け入れてくださったことも大きな変化です。それに加えて、奥様がつらさを言葉にできる相手になれたこと。その意味の大きさを感じました。その後、ご主人は亡くなられました。奥様が看護師に涙を流しながら「ありがとう」と伝えてくださった姿を、今も忘れられません。私たちは、ただ利用者様のお宅に上がらせていただいているのではなく、その方の人生に上がらせていただいているのだと感じました。利用者様とご家族が何を感じ、何に困っているのか。そこに向き合う大切さを、このご家庭から教えていただきました。関わったスタッフみんなにとって、成長につながる出会いだったと思います。
義足で3階へ。仲間の成長を感じた日
ご本人の変化と、任せた仲間の成長に驚かされた。
義足でのリハビリが思うように進まず、アトリエが関わることになった利用者様がいらっしゃいました。当初は、傷の状態を確認しながら、仮義足のフィッティングや歩行練習を進めていました。ご本人には、「動きたい」「自分でできることは自分でしたい」という強い思いがありました。一方で、無理に歩けば傷が悪化するおそれもあり、その意欲を大切にしながら、安全に進める難しさがありました。私も階段の練習に関わっていました。正直、「なかなか難しいな」と感じていました。ご本人のやりたい気持ちは分かる。けれど、傷のことも気になる。思うように進まない時期が続いていました。その後、担当を若いスタッフに託し、半年ほどたってから、再び訪問したときのことです。目の前の姿に、驚きました。ご自宅の3階まで続く急な階段を、いとも簡単に、義足で上り下りしていらっしゃったのです。スタッフの見守りのもと、ご自身で一段ずつ進んでいました。担当スタッフは、ご本人や奥様との関係を築き、リハビリの進め方を共有しながら、看護師とも連携を重ねていました。そうした積み重ねが、目の前の姿につながっていました。階段を上り下りできるようになったことで、デイサービスの利用という次の選択肢も広がりました。奥様は、担当スタッフの名前を挙げ、そのスタッフのおかげだと話してくださいました。「あの人が、いつも頑張ってくれるの」その言葉を聞き、ご本人の姿を見て、私は素直に「頼もしいな」と思いました。自分もこんな人にリハビリをお願いしたい。そう感じました。自分が難しいと感じていたことを、仲間が関わり続ける中で形にしてくれた。うれしい驚きでした。利用者様のできることが増えた喜びと、任せた仲間の成長を感じた喜び。その両方が重なった、忘れられない訪問です。
好きな歌が、その方との接点になった
好きな音楽をきっかけに、いつもと違う反応に出会えた。
終末期を過ごされていた、60代の利用者様のお話です。高次脳機能障害があり、左側のものや空間に気づきにくい「半側空間無視」という症状が見られました。ご自宅での生活には多くの難しさがあり、左側にある食事に気づきにくいなど、日常のさまざまな場面で支援が必要でした。言葉でのやり取りも難しい中で、私は、その方の好きなものを知りたいと思いました。奥様に、好きな音楽や趣味について伺うと、松山千春さんがお好きだと教えてくださいました。そこで、iPadで「大空と大地の中で」のライブ映像を流してみました。すると、ご本人が曲に合わせて口ずさみ始めたのです。普段の声かけでは、なかなか反応を得られなかった方が、歌っている。その姿に、まず驚きました。さらに、そっとiPadを左側へ動かすと、その方向に顔を向けてくださったのです。その方の「好き」を知ったことで、いつもとは違う反応に出会えました。病気や症状を理解するための専門知識は、もちろん大切です。そこに、その方が親しんできた音楽や、好きなことを知る視点が加わると、関わりの糸口が見つかることがある。目の前にいるのは、これまでの人生を歩んできた一人の人。そのことを、あらためて実感した瞬間でした。
「ちょっとだけ話ができました!」
悩んだ時間の先にあった、スタッフからのうれしい報告。
利用者様との関わりと同じくらい、仲間の成長に胸を打たれることがあります。長年の病院勤務を経て、訪問看護に挑戦した看護師がいます。とても真面目で、知識も豊富。看護に対して、熱心に向き合う方です。その方が悩んでいたのが、利用者様との距離感でした。もっと何かできるのではないか。どうすれば話ができるのか。どうすれば必要な看護を届けられるのか。一生懸命だからこそ、思い悩んでいました。あるとき担当したのは、関わりを受け入れてもらえるスタッフが限られている、中学生の利用者様でした。その看護師も、なかなか顔を合わせることができず、訪問を重ねても関係を築けずにいました。1週、2週、3週と過ぎる中で、私に相談がありました。「これは看護なんですか。これが訪問看護なんですか」私が伝えたのは、自分がしてあげたいことだけでなく、ご本人が望んでいることと、そのタイミングに目を向けてほしい、ということでした。今、この方は何を求めているのか。どんな関わりなら受け入れられるのか。まずは、そこを感じ取ろうとしてほしいと話しました。相手の反応が変わらないとき、自分たちの関わり方を見つめ直す。その難しさも、大切さも、訪問看護にはあります。その後、私が車に乗っていると、そのスタッフから電話がかかってきました。「ちょっとだけ話ができました!」短い言葉でしたが、私にとっては、とても大きな報告でした。「ちょっとだけ」という言葉が、私には少しも小さく聞こえませんでした。悩みながら相手に向き合い、関わり方を考え続けた先で、ようやく交わせた言葉。その看護師が、訪問看護の手応えをつかんだ瞬間のように感じました。こうした迷いや喜びを相談し合い、一緒に考えていけること。仲間の小さな変化を、自分のことのようにうれしく思えること。それも、私がこの仕事をしていてよかったと思う理由の一つです。
音楽と、仕事と、仲間が重なった日
訪問看護と音楽が、大切な仲間と同じ場所でつながった。
最後は、少し私自身の話をさせてください。私は音楽が大好きです。仕事以外の時間の多くを、音楽とともに過ごしています。気持ちを切り替えたいときも、落ち着きたいときも、そばに音楽があります。音があることで、自分の気持ちを整えられる。それくらい、音楽は生活に欠かせない存在です。2026年、アトリエは「ONE PARK FESTIVAL」に救護係として参加しました。会場で体調を崩された方や、けがをされた方など、ケアを必要とするお客様に看護を提供しました。私にとって、その経験には特別な意味がありました。人生の大きな部分を占めている訪問看護。そして、仕事以外の時間を豊かにしてくれる音楽。その二つが、同じ場所でつながったのです。日々の訪問で培ってきた経験を、大好きな音楽の場で生かせる。音楽を楽しむために集まった方々を、救護という形で支えられる。好きなものに、自分の仕事を通じて関われることが、こんなにうれしいのかと思いました。そして何より、その時間をアトリエの仲間と一緒に過ごせたことが、本当にうれしかったです。普段から一緒に利用者様を支えている仲間と、いつもとは違う場所で力を合わせる。同じ経験をして、その喜びを分かち合える。うまく言葉にしきれないのですが、仕事と、自分の好きなことと、大切な仲間が重なった、この上ない時間でした。訪問看護を続けてきた先に、こんな景色もあった。そのことに、深く心が動きました。
日々の感動と、これから
感動は、日々の
関わりの中にある
ここで紹介したのは、アトリエで生まれたエピソードの、ごく一部です。
最期の時間をご一緒し、お見送りをさせていただいた方。回復や生活の変化に伴って、訪問看護を卒業された方。それぞれの暮らしの中で、私たちは多くの忘れられない場面に立ち会ってきました。
そして、心を動かされるのは、利用者様との関わりだけではありません。
悩んでいたスタッフが、自分なりの関わり方を見つける。任せた仲間が、私の想像を超える支援を届けている。一人ひとりの成長にも、何度も胸を打たれています。
日々の仕事には、迷うことも、思うようにいかないこともあります。それでも、小さな変化を仲間と喜べる。そのことが、次の訪問に向かう力になります。
いろいろな利用者様の人生に触れ、仲間の成長をそばで見られる。アトリエという場所で、この仕事ができて、本当によかったと感じています。
この記事を読んで、私たちが日々大切にしていることや、働く喜びが少しでも伝わっていたらうれしいです。
アトリエで働くことに関心のある方へ
まずは、話してみる
ところから。
「こんなふうに利用者様と関わりたい」「この仲間と一緒に働いてみたい」と感じてくださった方は、ぜひ一度、お話ししませんか。
見学やカジュアル面談からでも大丈夫です。あなたが大切にしたい看護やリハビリのこと、これから挑戦してみたいことを、私たちにも聞かせてください。
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